本店移転登記
会社(本社)の所在地を移転した場合には登記をする必要があります。
「本店移転登記」は定款に本店についてどのように定めているかによって手続きが異なります。また、同じ法務局管轄内で移転する場合と別の法務局管轄へ移転する場合でも手続きや登記費用が異なります。
1まず定款の記載を確認します
定款での本店の定め方は、概ね次のパターンがあります。
① 名古屋市中区
《本店の所在地を独立の最小行政区画まで定める方法》
② 名古屋市中区錦一丁目14番23号
《本店の所在地を所在地番まで具体的に定める方法》
以下、①の場合、②の場合、そして管轄内での移転、管轄外への移転に分けて説明します。
2次に、各機関によって決議をします
①の場合で管轄内に本店移転する場合
取締役会(取締役会がない会社は取締役の決定)により決議します。
定款に変更がないので、株主総会の議決を経る必要がありません。
①の場合で管轄外に本店移転する場合
株主総会で定款変更の決議(特別決議)をします。
次に、具体的な所在・地番と本店移転の年月日を、取締役会(取締役会がない会社は取締役の決定)により決議します。
②の場合で本店移転する場合(管轄内・管轄外共通)
株主総会で定款変更の決議(特別決議)をします。
次に、本店移転の年月日を、取締役会(取締役会がない会社は取締役の決定)により決議します。
3そして、登記の申請をします。
※本店移転日は登記申請日ではありません!
登記申請日=変更日という勘違いがよくありますが、あくまで取締役会(取締役会がない会社は取締役の決定)で決定した日が登記上の本店移転日です。
登録免許税について
・本店移転先が管轄内の場合 30,000円
・本店移転先が管轄外の場合 60,000円(移転前の法務局・移転先の法務局)
愛知県では名古屋法務局(本局)と岡崎支局がございます。どの管轄になるのか確認してください。
岐阜県では岐阜地方法務局が全域を扱っているので、県内での移転であれば登録免許税は30,000円になります。
三重県では津地方法務局が全域を扱っているので、県内での移転であれば登録免許税は30,000円になります。
類似商号について
もう一つ注意すべきは、移転先にすでに同一・類似の商号で営業している会社があるかどうかです。
移転先の地域で有名な会社と同一・類似の商号で同じ商売をしてしまったり、不正な目的で他の会社と勘違いさせるような商号で商売をしていると、商号の差止請求を受けたり、損害賠償請求を受ける場合があります。
したがって、移転される場合には後日トラブルが起こらないよう事前に商号の調査をお勧めします。
本店移転の変更登記は、原則として定款変更の決議後、本店所在地では2週間以内、支店の所在地では3週間以内に申請しなければなりません。