お客様の解決事例事例設定は単純化してあります
当事務所でのお客様の解決事例をご紹介させていただきます。解決事例の内容はわかりやすくするために細かい手続きは省き単純化しております。
複数の不動産、ご自宅の名義変更(相続登記)の事例
夫Aさんが亡くなられた妻、娘のご家族様からのご相談。不動産をお持ちで相続財産の内容がわからないというところからのスタート
まずAさんの生まれてからのすべての戸籍の収集を行い、相続財産の調査を行うと、相続財産はご自宅、預金・株式に加え愛知県外にも複数の不動産をお持ちでした。それぞれの管轄する法務局への相続登記申請を行いました。
相続登記と遺産分割協議書の作成の事例
ご実家が名古屋市内で相続人の方が遠方にお住まいの方の相続のご相談。相続される方は長女Aさん、長男Bさん、次女Cさんの3名いらっしゃいましたが、皆様全員愛知県外にお住まいでした。
まず最初に事前に東京に住む長女Aさんから帰省の前に、オンラインで相続登記と遺産分割のご相談をさせていだだきました。その後、帰省時にご来所いただき手続きを進めさせていただき、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書の作成をいたしました。長女Aさんがご実家の名義を引き続き、管理の手間賃として他のお二人より少し多く預貯金を相続することになりました。
家族信託・民事信託の事例
家族信託・民事信託の活用事例は8つパターンに分けて掲載してあります。
活用例については、家族信託・民事信託の内容をわかりやすくするために事例設定は単純化してあります。
また、活用例の中では信託監督人や受益者代理人が登場しませんが、いずれの活用例においても信託監督人・受益者代理人を置くことができますので、必要に応じて信託監督人を選任することになります。
子がない夫婦の資産承継(先祖代々の土地を守りたい)
●夫Aさんは妻Bさんと夫婦で、Aさんの家系で先祖代々受け継いできた自宅で一緒に暮らしています。
●夫Aさんと妻Bさんの間には子はいません。
●AさんはBさんに、自分が死んだ後はこの自宅にてゆっくりと安心して老後の生活を送ってもらいたいという思いがあり、自宅のほか遺産のすべてを妻Bさんに相続させたいと考えています。
●Aさんは、先祖代々受け継いできたこの自宅の土地建物は、Aさんの家系で受け継いでいきたいとの思いもあり、Bさんが亡くなったらこの土地建物はAさんの弟の子Cさんに承継してもらいたいと思っています。
- 家族信託で委託者兼第一次受益者をAさん、第二次受益者をBさん、受託者をAさんの弟もしくはCさんにし、信託契約の終了はBさんの死亡時、残余財産の帰属先をCさんとして信託契約を締結します。
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委託者 兼 第一次受益者 Aさん 第二次受益者 Bさん 受 託 者 Aさんの弟 or Cさん 信託の終了 Bさんの死亡のとき 残余財産の帰属先 Cさん このように信託契約を設計することにより、先祖代々受け継いできた自宅土地建物は受託者が管理することになりますが、信託契約の定めに従って受益者である妻Bさんは亡くなるまでずっとこの自宅で老後を過ごせることになります。
また、信託契約で、妻Bさんが亡くなった場合に信託が終了し、信託が終了した際の残余財産の帰属先(帰属権利者)をAさんの弟の子Cさんと定めてあるので、最終的にAさんの家系で代々受け継がれてきた土地はAさんの家系である弟の子Cさんが承継することになります。
このように家族信託・民事信託を活用することにより、民法の規定による「遺言」では実現できなかった二次相続以降の承継先まで指定することが可能となります。
前妻との間に子がいる場合の資産承継
●夫のAさんは再婚しており、後妻のBさんと暮らしています。
●AさんとBさんの間に子はいませんが、Aさんは離婚した前妻との間の子Cさんがいます。
●Aさんは、賃貸不動産を所有しています。
●Aさんは、自分が死んだあとはこの賃貸不動産をBさんに相続させ、賃貸収入によって不自由のない生活を送ってもらいたいと思っています。
●Aさんは、後妻Bさんが亡くなった場合には、この賃貸不動産を前妻との間の子Cさんに承継させたいと思っています。
- 家族信託で委託者兼第一次受益者をAさん、第二次受益者をBさん、受託者をCさん(もしくはAさんの親族)にし、信託契約の終了はBさんの死亡時、残余財産の帰属先をCさんとして信託契約を締結します。
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委託者 兼 第一次受益者 Aさん 第二次受益者 Bさん 受 託 者 Cさん(もしくはAさんの親族) 信託の終了 Bさんの死亡のとき 残余財産の帰属先 Cさん このように信託契約を設計することにより、賃貸不動産は受託者が管理することになり、賃貸不動産から得られる賃貸収入は信託契約の定めに従って受益者である後妻Bさんに渡ることになりますのでBさんはこの収入により不自由のない生活を送ることができます。
また、信託契約で、後妻Bさんが亡くなった場合に信託が終了し、信託が終了した際の残余財産の帰属先(帰属権利者)を前妻との子Cさんと定めてあるので、最終的にこの賃貸不動産はCさんが承継することになります。
このように家族信託・民事信託を活用することにより、民法の規定による「遺言」では実現できなかった二次相続以降の財産の承継先まで指定することが可能となります。
高齢になった親の財産管理(認知症対策)
●Aさんの父は数年前に亡くなり、母は父から相続した自宅(土地建物)で一人暮らしをしています。
●最近になって体も衰えてきており、また少々物忘れも増えてきました。
●母は高齢者施設への入居を考えています。
●施設の費用は、母の年金と不足する分は母の貯蓄で支払う予定です。
●母は施設へ入所した後もたまには自宅に帰りたいし、年に数回ですが親戚が集まることもあるため自宅は売却しない考えでいます。
- 家族信託で委託者受益者を母、受託者をAさんにし、信託契約の終了は母の死亡時、残余財産の帰属先をAさんとして信託契約を締結します。
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委託者 兼 受益者 母 受 託 者 Aさん 信託の終了 母が死亡のとき 残余財産の帰属先 Aさん このように信託契約を設計することにより、受託者であるAさんが自宅を管理・処分する権限を持つことになりますが、受益者である母親は施設に入所した後も時々自宅に帰ることもできますし、お盆などに親戚が集まる場所として自宅を利用することができます。
もし、その後に母が認知症によって意思判断能力を喪失した場合でも、信託契約の定めにより、いざというときにはAさんの判断により受託者として母の自宅を売却などの処分ができるようになります。
成年後見制度を利用した場合のように裁判所の手続きで何か月も待たないと売却できないという事態を回避することができます。
また、信託された自宅の売却代金は当然に信託財産となり受益者である母のものですので、その現金の管理をAさんが行い、施設代や手術費用など母のために有効的に使うことができます。
そして、母が亡くなったときに信託が終了し、残余財産の帰属先(帰属権利者)をAさんと定めてあるので、残った現金はAさんが取得することになります。
このように、家族信託・民事信託を活用することにより、生前の財産管理・処分をスムーズに行うことができ、また遺言と同じ効力を持たせることが可能となります。
障がいを持つ子の生活保障(親なき後問題)
●Aさんと妻Bさんの子Cさんは重い障がいを持っており、ひとりで生活していくのは困難な状況です。
●Aさんは、自分と妻が亡くなった後の子Cさんの生活保障について心配をしています。
- 家族信託で、委託者兼第一次受益者をAさん、第二次受益者を妻Bさん、第三次受益者を子Cさん、受託者を親戚などにし、信託契約の終了は子Cさんの死亡時、残余財産の帰属先をお世話になった親戚や施設などにして信託契約を締結します。
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委託者 兼 第一次受益者 Aさん 第二次受益者 妻Bさん 第三次受益者 子Cさん 受 託 者 親戚など 信託の終了 子Cさんが死亡のとき 残余財産の帰属先 お世話になった親戚や施設など このように信託契約を設計することにより、Aさんが亡くなった場合、Aさんの財産は、受託者の管理のもとで妻Bさんに承継されることになります。
妻Bさんは、信託契約の定めに従って、自身の生活費及び子Cさんの施設費などを受託者(親戚など)から受け取ることができます。
もちろん、信託の設計により、Aさんの財産の一部を信託財産として、信託財産としなかった財産(現金)については、遺言によって妻Bさんにそのまま相続させ、受託者に管理させることなくBさんが自由に使えるようにすることも可能です。
その後、妻Bさんも亡くなって、子Cさんがひとりになってしまったときには、第三受益者のCさんのために受託者が信託財産を生活費・施設費などに使っていくことになります。
そして、Cさんが亡くなったときに信託が終了し、残った信託財産は信託契約で定められた残余財産の帰属先(帰属権利者)である親戚や施設に受け取ってもらうことができます。
このように、家族信託・民事信託を活用することにより、障がいを持つ子の親亡き後の生活保障を確保することができ、最終的に残った財産についても国庫に帰属させるのではなく、お世話になった親戚や施設などへのお礼としてお渡しすることも可能となります。
不動産が何人もの共有となっている場合の管理方法
●Aさんは、親から相続したオフィスビルを兄弟姉妹5人で共同所有しています。
●Aさんは、このオフィスビルについて何かしようとする度に5人の署名・押印などが必要となり、兄妹のうち遠くに住んでいる者もいるため面倒だと感じていました。
●Aさんをはじめ共有者全員は、あと数年はこのオフィスビルによる賃料収入を得たいと思っていますが、古くなってきたこともあり売却することも念頭に置いています。
●兄弟姉妹は皆高齢で、体も衰えてきた感があり、以前より物忘れも多くなってきている者もいます。
- 家族信託で信託財産をオフィスビル、委託者兼受益者を兄弟姉妹5人、受託者をBさん(例えばAさんの息子など)にして信託契約を締結します。
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信託財産 オフィスビル 委託者 兼 受益者 兄弟姉妹5人 受 託 者 Bさん(例えばAさんの息子) このように信託契約を設計することにより、Bさんは受託者の権限によってこのビルの管理や処分を行うことができるようになり、またAさんを含む兄弟姉妹については受益者としてこのビルから発生する賃料を受け取ることができます。
もしこの先Aさんの兄弟姉妹のうち誰かが認知症などによって意思判断能力を失ったとしても何の影響も受けません。
例えば、いつかこのビルを売却することになった場合でも、売買契約の当事者は受託者のBさんなので、その時点で誰かが認知症などになっていたとしても売却について後見人の申立てなどをすることなく売却の手続きがスムーズに進みます。
また、売却しない場合でも、新たな賃借人との賃貸借契約やビルの修繕に関する契約について受託者であるBさんに権限が集中することになるので、これまでのように共有者である兄弟姉妹全員の協力を得ることなくビルの管理・運用ができ、財産としても保有し続けることができます。
このように家族信託・民事信託を活用することにより、不動産の共有問題を解決し、スムーズな管理・運用・処分を行うことが可能となります。
中小企業の円滑な事業承継(相続や遺留分による株式の共有・分散を回避)
●Aさんは、株式会社Xの創業者であり、この会社の株式を100%保有しているオーナー社長です。
●Aさんには、長男・長女・二男の3人の子がいます。
●Aさんは、この会社の後継者は二男のBさんにしたいと考えています。
●Aさんの資産のほとんどは会社の株式であり、株式以外で長男・長女の遺留分を確保するだけの資産はありません。
- 家族信託で信託財産を株式会社Xの株式全部、受託者をBさん(二男・後継者)、受託者を二男、長男・長女→遺留分額相当の受益権にして信託契約を締結します。
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信託財産 株式会社Xの株式全部 受 託 者 Bさん(二男・後継者) 受 益 者 二男
長男・長女⇒遺留分額相当の受益権遺言の中でこのような信託を設定しておけば、Aさんが死亡した場合には、Bさんは受託者として株式の名義人となりますので、Bさんに議決権を集中させることができ、Bさんが実質的にオーナー社長として会社を運営していくことができることになります。
一方、長男と長女には遺留分相当額の受益権を持たせることで遺留分の問題を解決させ、長男と長女は会社の経営には関与せずに株式の配当のみを受け取ることになります。
このように家族信託・民事信託を活用することにより、遺留分による株式の分散を回避して、会社の経営権を後継者に集中させることが可能となります。
会社使用の不動産(親の個人所有)の管理・承継
●Aさんは、X株式会社のオーナー社長であり、Aさん個人所有の不動産をX社に賃貸しています。
●Aさんには3人の子がおり、後継者には長男になってもらいたいと考えています。
●X社の株式を後継者とする長男に相続させた場合、この不動産以外には、他の兄弟に相続させられる財産はほとんどありません。
- 家族信託で委託者兼第一受益者をAさん(社長)、信託財産をX社に賃貸中の不動産、受託者をX社、第二次受益者を長男(後継者)以外の相続人、遺言書にX社株式を長男にとして信託契約を締結します。
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委託者 兼 第一受益者 Aさん(社長) 信託財産 X社に賃貸中の不動産 受 託 者 X社 二次受益者 長男(後継者)以外の相続人 遺 言 X社株式を長男に このように信託を設定しておけば、実際に不動産を使用しているX社が自ら受託者としてこの不動産の管理を行うことができ、賃貸借契約も受託者としてのX社と賃借人としてのX社で継続することになりますが、その賃料についてはこれまでどおりAさんが受け取ることになります。
その後Aさんが死亡しても受託者のX社と賃借人としてのX社との賃貸借契約は継続し、その賃料については二次受益者として長男(後継者)以外の相続人が受け取ることになり、相続分や遺留分の問題も解決できます。
X社としては、受益者に賃料を支払っている限りは、基本的に賃貸借契約を継続することができなくなる事態を防ぐことができます。
また、X社の株式についてはAさんが別途遺言書で後継者である長男にすべて相続させるといった内容にしておけば、株式が分散されることも防ぐことができます。
このように家族信託・民事信託と遺言を併用することも可能です。
家族信託・民事信託と他の制度も併用した設計によって、様々な状況に応じた資産承継を行うことが可能となります。
経営権を保持したまま後継者に株式を贈与
●Aさんは、△△株式会社の創業者で自社株をを100%保有しているオーナー社長です。
●△△社は、今期の業績が芳しくなく純資産がマイナスとなっています。
●Aさんは、自社株の評価が低い今のうちに現時点で後継者の予定とする長男に自社株を生前贈与したいと考えていますが、まだ引退するつもりはなく、代表権も当分は自分にしておきたいと思っています。
- 家族信託で受託者をAさん(社長)、受託者をAさん(社長)、信託財産を△△社株式、受益者を長男(後継者予定者)として自己信託をしておきます。
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委 託 者 Aさん(社長) 受 託 者 Aさん(社長) 信託財産 △△社株式 受 益 者 長男(後継者予定者) このようにAさんが自己信託をすることによって、自社株の議決権は引き続きAさんが行使することができ、実質的に会社の経営権を残したまま、株式を後継者の予定である長男に贈与することができます。
この自己信託時に株価の評価が付かなければ贈与税の課税なしで株式の承継ができることになります。
また、後々長男が後継者に相応しくない事情が出てきたとしても、信託の内容として、Aさんに受益者指定権(変更権)を持たせておくことによって、Aさんがそれを行使して受益者を二男に変更することも可能となります。
このように自己信託を活用して、株式を受益権として子に生前贈与し、受益者指定権を親自身が保有することによって、後々の状況変化を想定して対応策も持ちつつ生前贈与をすることが可能となります。